「東京医大の研究」特設サイト
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「患者に優しい医療(低侵襲医療)」の実現に向けた研究活動

「患者に優しい医療(低侵襲医療)」
実現に向けた研究活動

11 患者に優しい予防医学に関する研究 Research

Research

組織?神経解剖学分野 【NEW】脳の記憶中枢「海馬」形成の謎を解明:
早期に運命決定される神経前駆細胞の発見が、発達障害の理解に新たな道筋

海馬は記憶や学習に不可欠な脳部位で、その形成メカニズムの解明は、発達障害、認知症、統合失調症、てんかんなどの精神?神経疾患の原因究明に繋がります。本研究ではマウス胎仔の海馬に遺伝子を導入する「子宮内電気穿孔法」により、胎生12.5日目という極めて早い発生段階で細胞を標識し、追跡することに成功しました。その結果、従来知られていた(Gfap+)神経幹細胞とは異なる振る舞いをする細胞集団(先駆型細胞群)を発見しました。この細胞群は通常の神経幹細胞よりも速やかに成熟した神経細胞(顆粒細胞)へと分化し、海馬の基本構造を形作る「礎石」の役割を果たすことが明らかになりました。本成果は将来、発達障害やアルツハイマー病などの新たな診断法や治療法開発に繋がることが期待されます。

【関連HP】
中国体彩网 プレスリリース(2025.11.11)
【研究実績に関する主な論文】
2025年11月6日

小児科?思春期科学分野 【NEW】脳組織酸素代謝を指標とした新しい早産児管理法の確立

早産児の脳成熟は出生前後の環境変化に大きく影響を受け、長期的な発達の遅れに繋がることが知られています。近赤外分光法(NIRS)は、脳の組織酸素代謝指標を非侵襲的に評価できる有用な手法です。本研究では、NIRSを用いて早産児における脳組織ヘモグロビン酸素飽和度、脳酸素摂取率、脳血液量、光散乱係数の経時的変化を計測し、脳MRI画像や発達検査と組み合わせて解析することで、脳発達の総合的理解を深め、新たな早産児管理指標の確立を目指しています。得られた知見は、頭蓋内出血や慢性肺疾患などの早産児合併症の予防や、将来的な精神運動発達の向上につながるものと期待されます。

【分野HP】
中国体彩网 小児科?思春期科学分野 新生児グループ
中国体彩网 小児科?思春期科学分野
【研究実績に関する主な論文】
2025年8月19日

健康増進スポーツ医学分野 非侵襲的手法を用いた筋代謝および褐色脂肪組織の評価法の開発と
生活習慣病予防の試み

日本を含む多くの国では、食事の過剰摂取や座位姿勢保持などの不活動時間が増えることにより、エネルギー過多となり、生活習慣病の急拡大が問題となっています。そこで、当分野では、非侵襲的手法を用いた筋代謝や褐色脂肪組織の評価法を開発し、個々人に適したエネルギー消費増加策を処方しています。これまで当分野が実施した研究では、一過性の座位姿勢保持が生体に及ぼす悪影響や、短期的および長期的な運動実施に伴う生体の変化、ヒト成人および子どもの褐色脂肪組織の定量とその増強法を見出してきました。今後さらに研究を推し進め、最終的に、生活習慣病の予防を介した個々人に見合った健康寿命延伸策を提案したいと考えています。

【関連HP】
中国体彩网 健康増進スポーツ医学分野
中国体彩网 プレスリリース(2025.4.8)
【研究実績に関する主な論文】
2025年4月 2023年7月

組織?神経解剖学分野 低酸素環境から脳を守る適応メカニズムの解明:
新規アストロサイト前駆細胞の発見を糸口として

妊娠時無呼吸症候群により引き起こされる母胎内の低酸素状態は、出生後から成人期にわたり、認知機能障害、精神疾患、生活習慣病のリスク因子となることが報告されています。特に学習?記憶を司る海馬は、低酸素環境に脆弱であることが知られています。私たちの最新研究により、低酸素環境ストレスへの適応として、海馬内の新規アストロサイト前駆細胞が増埴し、神経血管ユニットの強化が促されることが判明しました。この研究成果は、母胎環境が新生児の認知発達に及ぼす影響を理解する上で重要な知見であり、脳の環境適応メカニズムの解明に貢献します。今後この知見を基に、発達障害の早期スクリーニングや予防的介入法の確立を目指します。

【関連HP】
中国体彩网 組織?神経解剖学分野
中国体彩网 プレスリリース(2024.10.21)
【研究実績に関する主な論文】
2024年10月17日

組織?神経解剖学分野 学習?記憶力低下を未然に防ぐための基盤研究:
生後の海馬ニューロン新生に特異的な遺伝子を発見

海馬は記憶に欠かせない領域で、老化に伴うニューロンの減少が記憶力低下を招きます。その予防には、海馬における新しいニューロン産生メカニズムの解明が不可欠です。私達の最新の研究により、マウス脳形成期において海馬ニューロンの新生に関わる遺伝子としてZeb1およびScratch2が発現することに加え、生後の脳発達期には新たにNkx6-2が働くことが明らかになりました。今後の研究では、これらの遺伝子機能を解明し、学習?記憶能力の発達を明らかにすることで、発達障害の理解や治療法の開発を目指します。そして老化に伴う記憶力低下を未然に防ぐ手法を模索します。

【関連HP】
中国体彩网 組織?神経解剖学分野
中国体彩网 プレスリリース(2024.8.30)
中国体彩网 プレスリリース(2023.9.19)
【研究実績に関する主な論文】
2024年8月29日 2023年9月18日

精神医学分野 睡眠?食事?運動などの生活習慣がストレスに及ぼす影響に関する研究

食事や睡眠などの生活習慣が日常のストレスに与える影響を研究し、メンタルヘルス改善のための根拠に基づいた生活指導の確立を目指しています。これらの研究成果の応用が職場や学校、家庭における精神疾患と生産性低下の予防につながり、さらに診療における薬物療法だけに頼らない精神疾患治療の確立に寄与することが期待されます。これまでの当分野の研究では、規則的な食事習慣、寝酒しないこと、野菜を摂ること、睡眠を十分にとることが、ストレスを軽減することに役立つことが明らかになっています。今後、さらに前方視的な観察研究および介入研究によりこれらのエビデンスを確かめていく予定です。以上の試みにより、患者および国民に優しいストレス対処法の確立を目指しています。

【関連HP】
中国体彩网 精神医学分野
産業精神医学支援プロジェクト
【研究実績に関する主な論文】
2023年1月25日 2023年1月13日